カウンセラーと精神科医は何が違うの?

カウンセリング

「カウンセラーと精神科医は何が違うの?」とよく聞かれます。

カウンセラーも精神科医も、“相談する人の話を丁寧に聞く”という点では同じです。
ですが、治療の方法や背景にある理論や根拠が異なります。もちろん、育成過程も。

多くの精神科の外来では、患者さんの数が多いこともあり、診察は比較的短時間(5~15分程度)です。
お薬の効き方を確認して調整したり、療養する上でのアドバイスを行ったりしています。

一方、カウンセリングでは相談者とカウンセラー(公認心理師や臨床心理士など)が、1回30分から1時間程度、会話などのやり取りを通して、悩みや問題のある現状の改善を図ります。
カウンセラーから病名を診断されたり、薬を処方されたりすることは決してありません

表にすると以下のようになります。

カウンセラー精神科医
根拠となる主な学問 心理学精神医学
資格無くても良い(※) 医師(国家資格) 
診断できないできる
診断書の発行できないできる
お薬の処方できないできる
カウンセリングできるできる
1回の時間30~60分5~10分
健康保険適用できないできる

※:資格について
 精神科医は『医師』という医業を独占できる業務独占の国家資格です。
 医師を規定する法律に医師法があり、その第17条に「何人も、医師でなければ、医業をなしてはならない。」とあります。(医業とは医療行為全般です。)
 そんな医師の中でも、精神科医療に関わる中で必須とも言える“精神保健指定医”という資格があります。厚生労働大臣が指定する国家資格である精神保健指定医は、患者さんに対して人権に配慮しながら強制的な治療でさえも行える資格です。
 
 カウンセラーには、特定の縛りはなく、誰でも、カウンセラーと名乗ればカウンセラーになれます。ただし、病院や学校、公的機関や企業がカウンセラーを採用する際には、資格を必須条件にしているところがほとんどです。
 最も公的な資格としては、カウンセラー初の国家資格で2017年に定められた『公認心理師』があります。ただし、まだ運用から期間があまり経っておらず、経過措置として様々な経験の方々が資格を取得しています。
 カウンセラーで最も専門的な資格としては『臨床心理士』が挙げられます。
認定された心理系の大学院を終了し、1988年に発足した公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格し、認定を受けることで取得できる資格です。5年ごとの資格更新制度などが定められており、能力の向上や研鑽が課せられています。

当然ですが、役割もできることも異なります。

精神科医は「あまり話を聞いてくれない」という愚痴を聞くことがあります。
今やうつ病患者だけでも127万人と人口の1%に達しています(厚生労働省 2017年患者調査)。
当然、うつ病以外でも精神科を受診している人は非常に多く、精神科医は話を聞きたくてもその時間が取れないのが現状です。
そのため、精神科医療の中では、精神科医が中心となりカウンセラーと連携をしていくことが望ましいと思いますが、まだまだ大半の精神科や心療内科ではカウンセラーがいないのが現状です。

さて、非常に多くの違いのあるカウンセラーと精神科医です。

仕事をしていて精神的に不調になり、病気休暇や休職を会社に申し出るときには、多くの場合、精神科や心療内科へ受診し、医師の診断を受け、診断書を会社に提出することが必要になります。
上記の表にもあるように、診断も診断書の発行も医師でないとできません。
公的な手続きに関係するものは、ほぼ全て医師が担うと思っていただいた方がいいでしょう。

では、カウンセラーは何ができるのか!?

カウンセラーに対して、
・特別な方法で、こころを癒してくれるのではないか
・問題が劇的に解決するアドバイスをしてくれるのではないか
と期待される場合があります。

結果として、そのようになったと思っていただくこともあります。

カウンセラーは相談者から話を聴きます。
どのような悩みを持っているのか、何に困っているのか、どうなったらいいのか、などを相談者の感情や思考にそって、カウンセラーも追体験するかのように聴いていきます。
話の内容に、カウンセラーの主観的な批判や評価をすることはありませんし、カウンセラーの価値観を押し付けたりすることはありません

相談者自身がこれまで必死で改善しようと努めてきた課題は、相談する時点では複雑にからまっていることがほとんどです。
それを整理して、少しでも良い方向へ向かうためには、他の人には話せないことも話せるような、相談者とカウンセラーの信頼関係が不可欠です。
もちろん、相談者が自由に話ができる安心・安全な場所を確保することはカウンセラーの役目です。

普段、自分自身でさえも気づかないようにしていた考えに気づき一人だけでは向き合えない心の一面と向き合うことができたら、カウンセリングの前には打つ手が無いと思い込んでいたことにも、一筋の光が見えるようになります。

答えはその人の中にある?

その昔、老子が言ったとされる言葉、『授人以魚 不如授人以漁』

「人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に釣りを教えれば生涯食べていく事が出来る」

お腹を空かした人がいた場合に、一時的な空腹を満たすために魚を与えることは簡単。
だけど、それだと、その人は空腹になる度に他の誰かを頼り、魚をもらい続けなければならないし、もらう癖がついてしまう。
これに対して、釣りの道具を与えて魚の釣り方を教えれば、空腹になっても自らの力で魚を捕まえて食べられるようになる。
どちらが本当にその人のためになるのか、と言う話です。

現代のカウンセリングは、さらにその先のことに重きを置いています。

カウンセリングの世界では「答えはその人の中にある」と考えられています。

魚の釣り方を教えるという相手の行動を変える方法ではなく、相手が自分自身の問題の解決方法を自分自身で気付くこと、その上で行動することがとても大切で、価値のあることだという考え方です。

そのため、私たちカウンセラーは、お話を聴き、質問をし、相談者の世界をできる限り一緒に体験しながら、相談者が何かを感じたり気づいたりするキッカケを探します。

そのタイミングがすぐに訪れることがあれば、カウンセリングが魔法のようにも感じられることがあります。
そのタイミングがなかなか訪れない場合は、そのくらいの期間が必要な大変な課題だったということなのかもしれません。

私としては、「答えはその人の中にある」という考えは、その答えを見つけ出せない相談者にプレッシャーを与えてしまうようであまり好きではありません。

そうかと言って、相談者の外に、相談者自身の答えがあるとは当然思えません。

それなので、私は、「答えを導くヒントはその人の中にたくさんある」と考えています

ヒントを探すためにたくさんお話を聴き、場合によってはたくさん質問をします。
答えらしきものが見つかるタイミングがなるべく早く訪れてくれるように、手を替え品を替え、積極的な姿勢でカウンセリングに望んでいます。

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